真鶴港の青いクレーン
真鶴港を見下ろす、あの景色。ポスターやテレビ、町のいろんなところで使われている、真鶴を代表する眺めです。その中で、ひときわ目を引くのが一基の青いクレーン。あれが何のためのクレーンか、皆さんはご存じですか?

答えは、船を海から陸へと引き上げるためのクレーンです。そしてそのクレーンを操縦してお仕事をされているのが、今回ご紹介する『真鶴ベイマリーナ』さんです。真鶴半島遊覧船の会社として知っている方も多いかもしれません。でも本業は「船を預かって、直すこと」なんだそうです。

西湘の漁船が集まる
あの青いクレーンこそ、ベイマリーナさんの大きな特徴「上架(じょうか)設備」。船を海から陸に引き上げる設備のことで、なんと最大20メートル・80トンまでの船を上げられちゃうそうです!!

船底の汚れ落としや、エンジンの載せ替え・オーバーホール、FRP(繊維強化プラスチック)でできた船体の修理。どれも、一度船を陸に上げないとできない作業です。このあたりにはほかに上架できる場所がないため、熱海から大磯あたりまでの漁船が、みんなここに集まってくるそうです。

ほかにも約40艇のボートやヨットを預かっていて、オーナーさんが乗りに来たときに海へ降ろしたり、帰ってきたら陸へ揚げたりする仕組み。さらに初心者さんでも楽しめるヤマハのレンタルボートクラブ、「シースタイル」というサービスも提供されています。
会員になれば、北海道から沖縄・ハワイまで全国のマリーナでクラブ艇を借りられるそうで、『真鶴ベイマリーナ』さんはその加盟マリーナのひとつ。導入艇はヤマハSR-X(定員5名)で、GPS魚探やトイレ、イケスも付いているので、相模湾での釣りや初島へのクルージングを気軽に楽しめます。

さらに『真鶴ベイマリーナ』さんでは、小型船舶免許の講習まで受けられるんです。借りて乗る、自分で操縦する、そして預けて直してもらう。船にまつわる諸々全般が、この一か所でぜんぶ揃ってしまうんですね。
始まりは造船所
お話をうかがったのは、『真鶴ベイマリーナ』の髙橋さん。実はここ、もともとは髙橋さんの、代々続く「船大工」のお家でした。昔は木造船を造っていて、貴船まつりの海上渡御で船を曳く「櫂伝馬(かいでんま)」なども手がけていたそうです。そして戦後、約70年前からは鉄の船も造り始めたそうです。

造船とマリーナを半々で経営する時期を経て、今の『真鶴ベイマリーナ』になったのは約15年前。2023年の夏からは、真鶴半島遊覧船も引き継ぎました。遊覧船は年に1回、陸に上げての検査が必要です。上架も修理も自分たちでできるからこそ、続けられているのだそうです。

海の「もしも」にも駆けつける
もうひとつの大事な役割が、海での人命救助です。誰かが大変なときには、朝早くでも駆けつけて、地道に救助をされているそうです。海上保安庁から連絡を受けて船を出し、年に5〜6件は出動しているとのこと。

多いのは、三ツ石で釣りに夢中になっているうちに潮が満ちて、戻れなくなってしまうケース。満潮の時刻を先に知っておけば、防げるのに……ということです。シュノーケル&豆チョウ最終が大好きな私も、潮と波と風のチェックは欠かさないようにします。
取材の日は、先日の高波で被害を受けた設備の修理の真っ最中。そんな忙しい合間にも、いろいろなお話を聞かせてくださいました。クレーンがよくある赤や黄色ではなく青いのも、髙橋さんのこだわり。見上げたときの圧迫感をやわらげるため、真鶴の景色にそっと馴染むように、という心づかいなんです。


